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書店員の織部です、としっかり名乗っておいて電話を切ってしまった。
さー……と、全身から血の気が引いていくのが判った。
すると、店の電話が鳴り出した。
あたしはその場にビクリと飛び上がり、慌てて受話器を上げる。
「お、お電話ありがとうございます。ブックスシード、フロア販売担当の織部でございます」
『あ、海棠高校の浅海と申しますが。なんか、電話切れちゃったみたいなんですけど』
わずかに不機嫌そうな浅海さんの声。
電話ごと投げ捨てたくなってしまった。
「も、申し訳ございません、手が滑ってしまいました……」
足元から震えが来るのを感じながら、あたしは慌てて神に祈った。
どうか、浅海さんがあたしのことなど忘れ果てていますように、と。
『……ふーん、ま、いいか。で、どうしたんです? 教科書の発注、なんか足りてませんでした?』
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