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「陽香は悪くない。そうやって庇うのは立派なことだよ。男として、偉いよ。でも、男と女って2人でやっと1人前じゃねえの? お前はハルたんを守ってやる。でもお前の手が足りない時は、ハルたんが頑張る時だろ。ハルたん、頑張ってたぞ。お前のために何をしてやれるかって、あの娘はひとりでずっと考えてた」
「……浅海さん」
「ここぞという女の──ハルたんの正念場なのに、お前はその機会を“傷付けたくない”って名目で黙って逃げて、奪ったんだよ。ハルたんから。あの娘はお前を追いたかったのに、お前がそれをさせなかった」
いたたまれなくて、目をそらした。
……あの時の俺と陽香をちゃんと見ていた人でないと、言えないことだった。
「何となく相性がよくて、ひっついてセックスして、楽しい時間過ごすだけの恋なら、俺だって何も言わないけど──違うんだろ? だって、7年も経ってるのにこれだもんな」
「……浅海さん、ひどいな……」
「……言わせてるのはお前らだよ。ホント、馬鹿だなぁ」
最後だけ、茶化してくる。
泣きそうだ。
「……ったく。なんでそう、肝心なところでそう自分嫌いなんだよ、お前」
「……さあ……」
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