【それを人は運命と呼ぶ。】

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   心当たりなら、この18年くらいずっと心の底に澱のように沈んでる。  だけど、それを口にすることはできなかった。  浅海さんはハァ……と大きく溜め息をつくと、俺を見て肩を竦める。 「なんでこんなこと言う気になったか、言ってもいい?」 「……? ええ」 「今日は、彼の月命日だろ」 「はあ……」 「お前、明日誕生日じゃん」 「……ああ……」  頭からすっかり抜けていた。 「そんな日に、7年ぶりにハルたんの姿を見かけたってのは──お前、考え直す時期なのかもって、そう思わない?」 「……」  浅海さんの言わんとすることは、それだけで何となく判った。  やんわりと、何を咎められているのか判らないでもない。  だけどこれは俺が選んだ俺の罰で──生き方だ。  陽香の存在を犠牲にしてまで、考え直すことなんて──。  目の前の雨の音に重なって、記憶の雨の音が俺の中で響く。  それがいつのものなのか、弱った今の俺にはよく判らなかった。 .
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