【それを人は運命と呼ぶ。】

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   登録外の携帯アドレスからだった。  すぐに“誰だ?”と返事をしてみたが、すぐにアドレスを変えたのか宛先不明で戻ってきた。  こういう予想外のことがあるかも知れない、という覚悟はしていた。この7年の間に、2回程。  1回目は、俺が中居の家をしつこく訪ねるようになってから。  2回目は、俺が流華さんと毎週土曜日に会うようになってから。  中居に対しては、斉木の母親である厚子さんもそう言っていたように、彼の昔の素行の悪さからその可能性を考えた。  そして、流華さんの方はその理由を考える必要もない。  流華さんの旦那さんに俺と彼女の関係を知られた時の可能性──。  こういうメールそのものを想定していたわけではないけど。  だから、驚きはしたけれど怖くはなかった。  どちらから送られたものなのだろう。俺は、これからそれを考えなければならないようだった。 .
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