【投げられた賽の行方。】

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  「あの、坂田先生……!」  グイッと白衣を引っ張られて、振り向いた。  見ると、顔を赤らめた女生徒が立っている。  俺が受け持っている1年生の子だ。  更にその向こう側を見ると、廊下の曲がり角のところで3人くらいの女の子が慌てて姿を隠すのが見えた。 「なに? 授業内容のことで、質問かな」 「いえ、あの……そうじゃなくて……」 「うん?」  にこり。  首を傾げて、彼女の顔を覗き込むようにしてやる。  すると、ただでさえ赤かった少女の顔は、腫れ上がるように真っ赤になった。 「いえ……! な、何でもないです……!」  可哀相になるほど狼狽して、目の前の彼女はぶるぶるとかぶりを振って3人の女の子のところまで走り去っていく。  はあ……と溜め息をつくと、後ろからクスクスと低い笑いが響いた。 「仁志くんってば、罪な男」  ふざけたようなその声に反応して振り返ると、涼太がいた。  こいつがやたら上機嫌な理由は、アレだ。朱音ちゃんと付き合うようになったから──だ。  正直、驚いたけど。2人がまとまればいいと思ってはいたけど、こんなに早いとは思ってなかったから。  涼太は今にも軽快な鼻歌を歌い出しそうな様子で傍までやってくると、じっと俺の顔を覗き込む。 .
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