【それを人は運命と呼ぶ。】

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  髪を乾かして整え、コーヒーを淹れている間に焼いたトーストをかじった。  花屋の章子ちゃんは有能な店員さんで、近頃は予約を入れなくても斉木の花を用意してくれている。  ちょっとしたひと手間が省けることに感謝しつつ、時計を見上げるとそろそろこの部屋を出る時間になっていた。  シャワーのおかげで少し火照る身体を持て余しつつ、俺は一応帰りのためのコートを手に取り、部屋の隅に掛けていたものに目を留めた。  ──ピンクのロングカーディガン。  俺に、これを着る資格はまだない。  そう思いつつも、この間から冷え込む日には必ず白衣やコートの下に羽織っていた。  寒いから──というのは口実で、実際はもっと女々しい理由だけど。  風鈴と、カーディガン。  このふたつがなくなったら、俺は多分死ぬような気がする。  それは決して、大げさなことじゃなくて。  俺に許されてるのは、このふたつだけな気がして仕方がないから。 .
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