【それを人は運命と呼ぶ。】

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「仁志くん、何それ。超カワイイんだけど」  後ろからちょい、と白衣をつままれてめくり上げられる。  俺は時々、怖いもの知らずの女子高生の暴挙にこうして閉口する。  これをやられたのが自分達だったら大げさに泣き喚く勢いで騒ぐくせに、男なら構わないと思っているらしい。  スカートでなければいいというものでもないはずだろう。  女の子だからどうこうしなさい、なんてことを言う気はないけど、俺としては昔ながらの大和撫子に熱狂的なラブコールを送りたい。 「こら、触るな」 「ふふー。仁志くんにピンクって。マジカワイイッ」  しっしっ、と手で払いのける仕草をしてやると、通りすがりの女子高生3人組はきゃはは、と悪びれない笑いを響かせながらぱたぱたと走って逃げていく。  ……まったく、何が“仁志くん”だ。こっちは名前も知らないってうのに。  受け持ちのクラスの生徒なら、完璧なんだけど。  数学担当のヒョロリとしたオタクっぽい後藤先生じゃあるまいし、全校生徒の女子の顔と名前を覚え込もうという根性、俺にはない。  後藤先生は、今年28歳。  この数年ものすごい勢いで伸びてきたあのアイドルグループにいる女の子の顔と名前を全部一致させた上で覚えているらしい。  あのグループをすんなり覚えられたんだから、毎日嫌でも見る生徒の顔くらい……という完全に暇を持て余した“ぼっち遊び”らしいけど。 “ぼっち”というのは、なんかそういう系の用語らしく“彼女や友達がいない”という意味なんだそうだ。  後藤先生いわく、「僕のぼっちは鉄板です。無双です。あと数年で魔法が使えるようになります」ということらしい。よく判らない。  いつもは影が薄くてぽそぽそと自信なさげに話すんだけど、特定の話題になるとものすごい勢いで食いついてきて、テンションが高くなる。 .
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