【それを人は運命と呼ぶ。】

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「そういえば、昨日さ。芹沢が俺んとこ乗り込んできたんだ」 「朱音ちゃん?」 「そう。愛美のこと、どういうつもりなんだって。頼りないかと思ったけど、けっこう頑張るのな」 「……朱音ちゃんはしっかりした子ですよ。昔から。ただ、義父のトラウマがあるだけだ」  ふうん……と浅海さんは呟くように返事をした。  浅海さんにとっては、一色愛美以外はおそらくどうでもいいのだろう。本当の意味では。  去年の今頃、一色愛美が気になっていると告白された時は、どうしようかと思ったけど。 「まあ、本当に愛美の友達なんだな、と思って。他に相手がいないこと、芹沢にだけは言っておいた」 「それ、何で隠すんです。ちゃんと言い聞かせてやれば、一色だって納得してくれるでしょう」 「馬鹿やろう。俺が、ヤバいんだよ」 「はい?」 「愛美にちょっとは遠慮してもらわないと、俺がヤバいの」  ……やっぱり、呆れてものが言えないことの方が多いかも知れない。 「愛美んち、母親ずっといないだろ。夜とかよく電話するけど──寂しそうにしてると、来いよって言いそうになるし」 「相手、高校生ですからね」 「判ってるって。だから俺に女がいるって思わせて、小さくしててもらわないと困るんだよ」 「あなたみたいな人が、なんで教師になったんですか」  浅海さんは子どもみたいに口を尖らせると、何やらぶつぶつ口の中で呟いた後、やたらはっきり宣言した。 「俺だって、高校生のガキなんて興味なかったよ。けど、捕まっちまったものはしょーがないだろ」  その言葉に、クッと小さく笑いが漏れた。  浅海さんは俺が笑っているのを視線だけで咎めると、口唇を尖らせながら運転を続けた。  ……そうか、捕まったのか。それなら仕方がない。 .
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