ささやく声と手。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  カップの底まで透けて見えるような琥珀の液体を眺めながら、息をついた。  美園さんに“これ以上お見合いの話はいらない”と本格的に断るために、兄貴の家を訪ねてきた。  あたしを迎えてくれたのは、兄夫婦の長男である一星くんだった。 「今、かーさんととーさん、仕事の話してるから待ってて」  一星くんは8歳とは思えないくらいしっかりしていて、美園さんから仕込まれているのか、あたしの好きな紅茶をしっかり手順どおりに淹れてもてなしてくれた。  妻が担当編集者で、夫が小説家。  嫌でも家庭も仕事場──ということになるのか、こうして訪ねる度仕事をしていることが多い。  一星くんはしっかり自分の分の紅茶も淹れ、あたしの前に腰を下ろした。 「ごめんね、ねーちゃん。いつもかーさんがおせっかいで」 「え? あ、ううん。いいのよ、そんなふうに思ってないから……」 「まあ、ねーちゃんなら嫁き遅れになる心配はないだろうからって、おれも言ってるんだけど」 「……一星くん、そんな言葉どこから……」 「とーさんの本。昔の言葉でそういうの、オールドミスって言うんだろ。オールドミスは可愛くないからやばいって書いてあった」 .
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