引き続き、彼の観察。

11/20
前へ
/40ページ
次へ
   多分、仁志くんがお付き合いした人以外なら、好きだと思って彼のことをずっと見ていた私しか知らない。  小さい頃から、ずっと可愛がってもらってた私だけ。  恋人のポジションを本当の意味で望んだことなんてない。  だけど、この“妹分”というポジションは、誰にも譲らないんだから。  誰に対しての決意じゃないんだけど、心の中で強くそう思ってから、私はニッと笑った。 「ありがと、仁志くん。私も、久遠寺さんのこと、気にして見てみる」 「……ああ、うん。俺も、一色のことは気にかけておくから。また何かあったら、言って」  心の中の心配ごと、全部が晴れたわけじゃないけれど──今までとは違う仁志くんとの関係を、私は気持ちよく感じていた。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加