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「メグ、メグ待って!」
メグは、足が速い。
だけど、地味っ子って言われて目立たない私だって、そう引けは取らない。
メグの背を見失うことなく追い続け──やがて私達は、体育館裏の人気のない場所にたどり着いた。
ハアハアと肩で息をしながら、メグは体育館の壁にもたれてその場にへたり込む。
私は地面に散らばっている枯葉をかさかさと踏みしめながら、ゆっくりとメグのそばに近寄った。
メグは走ったのと泣きっぱなしなのとで、何度も咳をしている。
その隣に腰を下ろし、メグの呼吸が少しでも楽になるようにと丸められた背中を撫でた。
「メグ、浅海先生が追いかけようと、してくれてたけど……私が止めたよ」
「……」
「目立ったら、大変だと思って」
「……」
「浅海先生に来て欲しかっただろうけど……ゴメン」
息を切らしながらそう言うと、メグは立てた膝に顔を埋めながらぶるぶると首を振った。
「ありがと……」
掠れ声でも返事をしてくれたことに、ホッとした。
「……でも、いいの……もうやめる。浅海先生に、これ以上迷惑かけられない……」
「メグ……」
浅海先生、という呼び方に一瞬違和感を覚える。
だけど、私には何故かメグの考えていることが判る気がした。
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