同じ穴の狢

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  散々泣いた後の陽香の目尻が、少し赤く腫れていた。  自分のせいだと思うと胸が痛かったけど、その理由を考えたら──少し、幸せな気持ちになった。  腕の中で小さく丸まる陽香は、「ん……」と声を漏らして俺に身を寄せる。  眠っているさなかのその行動に意味はないと判ってはいても、やっぱり嬉しくなってしまった。  昔のように素直に口には出してくれないけれど、彼女が今も俺を好きでいてくれている、ということは充分伝わっている。  陽香が意地を張って「仁志くんなんて嫌い」と言えば言う程、堪らない気持ちになる。  陽香が俺に「嫌い」を繰り返せば繰り返す程、彼女の空白の日々が俺にも判るから。  昔、朱音ちゃんが俺に言った言葉をふと思い出した。  いや、正確には朱音ちゃんの言葉ではないけれど──朱音ちゃんを介して聞いた言葉だから、心に残っているんだと思う。サミュエル、だっけ。 “心を込めた言葉は、言葉が違っても伝わる”と。  留学講師だったというサミュエルは、おそらく国や言葉の違いのことを言ったんだろうけど。  日本語だって、それを実感できるものなんだな……と今さらながら深く納得できた。  俺は腕の中のふんわりとした温もりを更にぎゅっと抱きしめ、やわらかい髪の感触に息をついた。 .
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