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女の子は、すごいね。
そのからだの中に渦巻くものはきっと、男のそれよりもずっと手に負えないものであると思うのに──じっと抱いていられるんだから。
だから女の子が泣いた時、ああかなわない、と男は思うんだ。
手放せない、守りたい──そう、思わせてくれるんだ。
世界で一番大事なものを俺はとっくに見つけていたのに、こんなに早くそれを見つけて、手に入れることができたことが俺は怖かったのかも知れない。
それを守るだけの力が、想いが自分にはまだ足りてないんじゃないかと──怖かったんだ。
だから、嫌だって、言ってもいいよ。
嫌いだって、何度言ってもいいよ。
それでも今この時まで、陽香が俺をじっと待ち続けていてくれたことを、ちゃんと判っているから。
この想いを、ちゃんと言葉にするから。
きみに、ちゃんと、言うから。
もう少しだけ。
もう少しだけ、待っていて欲しい。
誰にも縛られない俺で、きみをずっと守っていくと、ちゃんと──云うから。
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