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「今夜、また迎えに行くから」
早めの朝食を取りながら俺がそう言うと、陽香はきょとんとして顔を上げた。
「……そんなに心配しなくても、あたし、大丈夫だよ……?」
チカンのことを言っていると思っているのだろう。
その程度──ではないけれど、できることなら俺だってその程度のこととして片付けてしまいたい。
けれど、昨夜のことだって弘毅が見ていなかったとは限らない。
昨夜は、俺の我が侭で一緒にいてもらったけれど。
ちゃんと陽香と付き合っているとも言いがたいこの微妙な状況で、これ以上弘毅の関心を彼女に向けるわけにはいかない。
端から見ればどっちでも同じことかもしれないけれど、俺と陽香にとっては大事なことだし。
陽香はわずかに口を尖らせながら、肩を竦める。
……とっても悪いことをしているような気がする。
好きだ好きだと迫り、陽香が本当の意味での拒否をしないのをいいことに、キスをして、抱きしめて、胸を触って──やめよう。
また寝室に連れ込みたくなってしまう。
別に、“付き合って欲しい”なんて言った瞬間から付き合う、なんて小中学生のような口先で縛り合うような表面的なことを言っているわけではなくて。
俺としては、自分がいて陽香が目の前にいて──それでもう、成立してしまっているつもりだけど。
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