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慌ててその場にしゃがみ込み、2人に触れようとして──頭を打っていたらどうしよう、とその手を引っ込めた。
「誰か、誰か来て……っ!」
私は校内に響き渡るように叫んだ。
すると、メグを抱いている浅海先生の指先がピクリと動く。
「……て……いてて……」
掠れた呻き声を漏らしながら、浅海先生がうっすらと目を開けた。
「浅海先生!!」
浅海先生は視界の中に私を見つけると、ハッとして腕の中を見る。
「……めぐみ。おい、愛美……」
浅海先生が腕の中のメグの身体をそっと揺らすと、メグはううん……と小さく声を漏らし、身じろぎする。
今のショックで気絶しているだけのようだ。
「呆れた。悪運の強い女……」
ぺたぺたと足音をさせながら、久遠寺さんが私達のそばまで降りてくる。
私は咄嗟に久遠寺さんから2人を庇うように膝をついたまま移動した。
久遠寺さんはそんな私を通り越して、浅海先生を見下ろす。
「まさか、あなたが出てくるとは思わなかった」
さっき踊り場から投げた上履きを拾い上げると、久遠寺さんは呆れたように溜め息をついた。
大怪我をしているかもしれない浅海先生を見ても、眉ひとつ動かさない。
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