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やたら情にもろいところも。
そばでメグを見ているうちに、私は彼女からそれに従う方法や、まだ拙い手練手管まで学ぼうとしていたのかも。
さっきまで浅海先生のことで泣いていたくせに、なんだ、メグの今の顔は。
「どうせサボリじゃない。あの様子じゃ仁志くん、何するか判んないし」
「そ、そんなこと言ったって……」
「判ってないなあ。ああいうタイプこそ、キレると恐ろしいんだよ」
だから見ててあげなくちゃ、という方便がメグの中で成立しているらしい。
私としては仁志くんの普通じゃない状態ももちろん気になるけど、さっきまで泣いていたメグのことも、まだ尾を引いてるっていうのに。
おろおろしている私を振り返り、メグはそっと顔を寄せてくる。
「朱音、非常時の選択の優先順位は、決めておいた方がいいよ」
「え?」
「まず、人命優先。あたしとあさみんのことは、後回し」
「……」
……あさみん、って言ってる時点で強がってるくせに。
そんなこともうバレバレなのに、メグってば。
「でも、私達がついていって……邪魔にならないかな。仁志くんの」
「ついてかないと、その判断もできないって。さ、早く!」
「あっ」
メグは私の手を取ると、仁志くんの向かった渡り廊下の方へと駆け出した。
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