191人が本棚に入れています
本棚に追加
「私とあなたとでは、人生の自由度がまるで違うのよ。だから、少しだけ取り替えるの」
「それで、別れろって言うの……!?」
「そう。あなたは母親譲りのいやらしい部分を使って、また新しい人を見つければいいじゃない。だから浅海亮は、私にちょうだい」
「冗談じゃないわ……浅海先生は、そんなんじゃない! あの人は、女を使ったからって……そんなのでどうにかなるような人じゃないのよ!」
メグの声が、階段に響き渡る。
久遠寺さんはうるさそうに目を細めると、上履きが残った方の足をペタン……とまた床に打ちつけた。
「やってみないと、判らないでしょう?」
久遠寺さんはニヤッと笑うと、吐き捨てるように続ける。
「ああ、試してみてからでもいいわ。合わなかったら、困るから。ねえ、じゃあまず浅海亮を貸して。一晩時間をくれれば確認できるわ」
「あんた……!」
カッとなったメグが、踊り場にいる久遠寺さんに向かって走り出した。
「メグッ!」
メグは一気に階段を駆け上がる。
メグを待ち構える久遠寺さんを見て、鳥肌が立った。
.
最初のコメントを投稿しよう!