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「待って、メグ……ッ!!」
久遠寺さんの瞳が、それを待っていたというように見開かれる。
その瞳に異常な昂揚感を見つけて、私はメグの後を追おうとした。
悪い予感というのは、だいたい的中する。本能が何らかの危機を察知するからだ。
久遠寺さんはやってきたメグの両手を掴み、その勢いを借りてその場でグルリと回った。
一回転したことで更に勢いのついたメグの身体が、私の方に向かって容赦なく投げ出される。
メグが落ちる──!
──と。
駆け出そうとした私の肩を掴んで、黒い影が追い抜いた。
まるでスローモーションみたいに、ゆっくりと視界がコマ送りされる。
私の肩を掴んで、追い抜きざまにふっと笑ったその人が、メグめがけて階段を駆け上がる。
その黒いジャージの、広くて大きな背中は──あさみ、先生。
頭が真っ白になった瞬間、その光景を見るのが怖くて目を閉じてしまった。
ドサリと音がして、おそるおそる目を開けると──私の目の前で、浅海先生がメグをしっかり腕の中に抱いて倒れていた。
「……メグ、先生!!」
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