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「子ども心に、気になったの。こんな死に方をしなくちゃならない人は、どんな悪いことをしたんだろうって」
「どんな……って……」
斉木は何もしていない。
ただあの場に居合わせ、巻き込まれてしまっただけだ。
……中居貴恵は、久遠寺と同じような目に遭っていて、それで……。
けれどそれを久遠寺の前で言うのは躊躇われた。
言っても久遠寺は気にしないのかも知れないが、あえて耳に入れることでもない。
傷付けられて傷付けられて、自ら死を選んだ──そんな暗い話、いったい誰が聞きたがるっていうんだ。
すると、久遠寺はふっと微笑む。
「……加賀美さんに、悪いことをしたらろくな死に方しませんよ、って脅かされてたから、そう思っただけ。疑問に深い意味なんてないの。ただ、斉木守さんはともかく……貴恵さんの方には実のお兄さん以外身寄りがないって判って、妙に気になったの」
「久遠寺……きみ、まさか……」
「加賀美さんにお願いして、会いに行ったの。弘ちゃんに」
俺は、黙って切り抜きを差し出した。
久遠寺はそれを受け取ると、再び胸ポケットにしまい込む。
「加賀美さんはね、とってもいい人だった。私がどんな目に遭ったかも全部知ってて、それでも差別したりしないで、厳しく礼儀作法を教えてくれた。で、遠くにいる自分の孫娘にそっくりだ、って甘やかしもしてくれた。だから、あんな無茶なお願いを聞いてくれたんだと思う。中居弘毅に会ってみたい……なんて」
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