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「よう、ハル。無事か」
「……なんでここに、岳ちゃんが」
「前に、言っただろ。個人的にチカン追っかけてるって」
「それとこれと、何の関係が……」
「男子高生にチカンやらせてたのが、俺の知り合いだったんだよ。それから色々、調べてて……そうしたら、そいつが職場に女担いで入ってったって聞いて。飛んできた。まさかそれがあんただったとは思わなかったけど……」
「──!」
さっき中居さんが仁志くんに話していたことを思い出した。
『……お前の学校の女生徒が男子校のガキにされたことはもう覆らないし、消えやしない……』
一連のチカン事件も、仁志くんへの嫌がらせだったのか。
頼まれたからやった──とは、昨日の男子高生に襲われかけた時に聞いてはいたけど、何てこと。
中居さんがもうすでに色々と行動を起こしていたことを悟り、また悔しくなった。
さっきは彼らの生い立ちや育った環境を哀れに思ったけど、それとこれとは別だ。
ひどい目に遭わされたからって、他人にまたそれを返していいわけがない。
あたしが改めて怒りに震え出したのを見て、岳ちゃんはそっとその手を握る。
「おい。本当に無事か?」
「え……? あ、うん……」
「……ヤラれたりしてないだろうな」
岳ちゃんの低い呟きに、ぎょっとした。
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