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……思い出した。
俺は、最初の暗い闇の中でひとり、ぽとんと涙をこぼした。なんで忘れたのかも、思い出した。
俺は、陽香と出会ったのに──あの後すぐ、あの運命のクリスマスの夜のことがあって。
俺はこの世にひとりきりなんだ……って思ったと同時に、心地いいものを全部自分の中から押し出してしまったんだ。
その中に、陽香への淡い感情と記憶があった。
だから、もう二度とあの公園へ行くこともなくなっていた。
小さな陽香は、もしかしたら何日もあそこで待ちぼうけをくらったんだろうか。
そうして、彼女もまた成長していく中色んなことがあって、忘れていったのだろうか。勝手な俺のことなど。
昼間でも薄暗いあの公園で待ちぼうけなんて、どれ程心細かっただろうか。
俺は一体、何度陽香に見つけてもらったんだろうか。
自分から暗闇に迷い出す俺を、一体何度──。
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