僕というものをさだめられた日。-Refrain-

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   俺は、とりあえず泣きたかった。  だけど学校じゃ色んな子がいるから、無理だった。  かといって、家でひとりで泣くのも嫌だった。  だって家で泣いたら、後でその場所にまた立った時に泣いたことを思い出してしまうから。  だったらせっかくの雨だし、泣いても誰も聞こえない所がいい。  流した涙が勝手にどこかへ流れてしまって、泣いたことを忘れてしまえるような所がいい。  なら、ランドセルや傘を置いて飛び出すしかなかった。  雨の中で泣いたら、多分顔が真っ赤になってもすぐに冷えるだろうから。  悲しくて泣きたいんじゃなかった。  悔しくて、腹立たしくて、自分のいるこの世界を殴りつけてやりたかったんだ。  でも、悲しいかな。自分にはそんなことできないって、その状況に立たされてみれば子どもにだって判るんだよ。  俺には、どうしようもない。  不条理が偉そうに横たわるこの世界で、時々つまずいて泣きながら歩いたり走ったり、時には立ち止まったりしながら進むしかない、って──。  もちろん、大人の実感のそれには遠く及ばないけど。  その時に相応しい顔をして、絶望とか失望とか──生きていればあらゆるがっかりがいきなり襲い掛かってくるもんなんだ。  バシャバシャと水溜りも構わずに駆けて、俺は必死に泣くのをこらえていた。 .
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