はるのおまじない

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だが先生に気に入られてしまったのはマズかった。 先輩を差し置いてレギュラー入りさせられ、毎回試合には出された。 それ故に先輩からも同期からも反感を買って、完全に除け者扱いだった。 人と馴れ合うことを好かない私にはちょうどいいけれど。 コソコソ話す声や私を視る眼が気持ち悪くて、息苦しい。 でも、と私は道場の入口で軽くお辞儀をしながら思う。 でも、ここは教室よりマシだ。 そう。 基本練習や型も組手も、向かい合う相手が誰であったとしても、集中してしまえば何も気にならないから。 だからどうでもよくて。 先生の言うことに異を唱えられるほどの勇気もなくて、ズルズルと続いていた。
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