はるのおまじない

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そうかもね。 どうでもいい…… 目を細めながらゆっくりと身を起こす私に、今度は 「それともコネなんじゃない?」 なんて、やっぱりコソコソと馬鹿げたことを言っている。 (コネで何とかなるほど、甘い世界じゃないわ) 心の中では言えても、実際にはすべてが面倒で言い返すどころか、視線すらも向けなかった。 私がカバンの中身を拾い集めていると、教室の引き戸が タン! と開いて、ふとその場が一瞬にして静まり返った。 それに私も同じく行動も、息までも止めてしまう。 恐らく……………… 奴が来た。 奴。 神楽 仁 (かぐら じん)は、私、市原 千花(いちはら ちか)をこの学校で、否、小学校からイジメ続けてきた男。
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