はるのおまじない

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「2度と、こいつに、手を出すな。いいな?」 「……………っ……………わ、わかったから……離せっ!」 男は叫んで思い切り手を振り払い、仁を睨みながら立ち去って行く。 相手が背を向けても、仁は最後まで殺気を孕んだ瞳を向けていた。 男が見えなくなって、気だるそうな動きで仁が私を見る。 今の勢いのままの眼で見られることが怖くて…… 息を飲んだ私は、反射的に顔を伏せていた。 ーーチッ と舌打ちする音が聞こえて、首を縮こませた私の髪を仁は無遠慮に掴み、無理矢理に顔を上げさせる。 その痛みに顔を歪めながら、あの眼で真正面から睨まれれば、私は抵抗もできずに歯を鳴らした。 「お前もだ。 巫山戯るな。避けられるものをわざわざ真っ向から受けやがって。オレ以外にの奴に傷を付けさせてんじゃねぇ。 わかったな?」 ぅ、あ…… と、歯の噛み合わない私が出せたのは、そんな情けない声だけだった。
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