プロローグ

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彼女は泣き叫んでいた。 側に駆け寄りたかったけれど、"はる"が行くことは許されず、代わりにお母さんの腕から逃れた彼女が来てくれた。 (……ごめんね。約束だったのに) ずっとずぅーっと一緒いるって。 ごめんね、と"はる"は彼女にいつものおまじないをした。 最後のおまじない。 (どうか忘れないで……ぼくは、ちかの側にいるょ) そのこころが伝わることを祈って。 でも、上手く届かなかった。 彼女は泣かなくなった。 そして、笑わなくもなった。 だから…… …………………だから セキレイの話を聞いて、"はる"はここに来たのだった。 むぅ、と扉を睨み付け、"はる"は大きく息を吸った。 開けられないのなら。 大きな声を出したら中から開けてくれるかもしれない。 やっと見つけたから方法だから。 そんな簡単になんて、諦められないんだ。 ーーすみませーん!!! そう叫ぼうとした、刹那。
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