21人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女は泣き叫んでいた。
側に駆け寄りたかったけれど、"はる"が行くことは許されず、代わりにお母さんの腕から逃れた彼女が来てくれた。
(……ごめんね。約束だったのに)
ずっとずぅーっと一緒いるって。
ごめんね、と"はる"は彼女にいつものおまじないをした。
最後のおまじない。
(どうか忘れないで……ぼくは、ちかの側にいるょ)
そのこころが伝わることを祈って。
でも、上手く届かなかった。
彼女は泣かなくなった。
そして、笑わなくもなった。
だから……
…………………だから
セキレイの話を聞いて、"はる"はここに来たのだった。
むぅ、と扉を睨み付け、"はる"は大きく息を吸った。
開けられないのなら。
大きな声を出したら中から開けてくれるかもしれない。
やっと見つけたから方法だから。
そんな簡単になんて、諦められないんだ。
ーーすみませーん!!!
そう叫ぼうとした、刹那。
最初のコメントを投稿しよう!