プロローグ

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それは、よく、ちかが"はる"にしたのと同じで。 "はる"はじわりと目頭が熱くなるのを感じた。 少女はふてくされたまま、けれどその手に擦り寄った。 「あたしもいつも言ってますょね? リルさま。今回こそ聞きませんよ。えぇ、聞きませんとも。絶対に」 言っている言葉とは裏腹に、口調はひどく弱々しい。 それに店主の女性はふふっと笑った。 「そうかしら?」 その一言に、ますます少女の機嫌は悪くなっていく。 それに店主はまた笑って。 さて、と小さく呟いた店主がゆっくりと椅子から腰を上げる。 ひどく美しい所作で。
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