プロローグ

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「お待たせして申し訳ないわね。 ーー望みは何かしら?」 そうしてやっと、店主の顔を"はる"は視た。 黒髪の、緩く微笑む表情が作りモノのように美しい女性だった。 "はる"は本能的に怖いと思った。 けれどそれ以上に、哀しみの色の濃い人だとも思った。 「なんだって叶えて差し上げる。それに見合う対価を差し出せば」 言って、機嫌の悪いままの少女を見た。 その表情は、どこまでも愛情深いモノであったから。 "はる"はほっと息を落とした。 「ここは魔屋(まや)。 願いを持つモノの、想いを叶えるお店」 もう一度真っ直ぐに視線を合わせた店主からはもう、哀しみの色は消えていた。
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