二人のはじまり

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「なら櫻井さん、一緒に行こうか。…かなり飲んでる?歩ける?」     ゆっくりと椅子から立ち上がる私を気づかい、彼は軽く手を差し伸べた。     私は差し伸べられた大きな手のひらをジッと見つめる。 「ありがとう。でも、私って結構お酒強いんだよ」     そう答えると、差し伸べられた手に軽く指を乗せ笑顔を作った。     初めて触れた憧れの水島先生の手…   胸が『トクン』と甘い音をたてた。     彼の手を見つめた瞬間、私はこのチャンスを使って、憧れの先生に近づきたいと思った。     所詮、私も色気を振り撒くナース達と同じ。 好奇心に流される、飢えた雌なのだ。
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