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「なっ?!可愛いって?!何だよそれぇ~。俺は大人の色気たっぷりだぞ!」
先生は口を尖らせ、拗ねた仕草を見せる。
「大人の男ねぇ…まあ、そう言うことで」
胸の鼓動を誤魔化そうと、悪戯気に先生の顔を覗き込む私。
そして、照れた表情を隠せないでいる先生。
なんて楽しい時間なの!
私の隣で水島先生が笑ってる!
今、先生のこの時間を独占してるのは私なんだ!
私は完全に舞い上がっていた。
「先生…私、前から先生のファンだったんだよ。でも、なかなか仕事の話以外は話せなくて。先生モテるから、ライバル一杯だしね」
私はドキドキする鼓動を押さえ、酔った勢いで――言ってしまった。
『ここで先生に引かれたらどうしよう』
お酒に助けられ浮かれながらも、そう思いたじろぐ私。
「…本当に? 嬉しいな、櫻井さんにそんな事言われると。いつも真面目に仕事してる櫻井さん見てて、『この子は絶対いい子だ』って思ってた。だから、仕事の話だけじゃなく、いろんな話もしてみたいと思ってたんだよ」
先生はグラスを見つめながらそう言い、照れくさそうに「ははっ」と声を出して笑った。
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