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先生はしばらく驚いた顔をしていた。
――当然だ。
しかも、相手は彼女一筋の『堅物』と言われる男。
「……」
数秒の沈黙。
私には数分に感じられる沈黙。
しばらくして先生が口を開いた。
「そうだね…。櫻井さんとなら、いいよ」
――――ええっ――?!
あまりに予想外の返答。
滑稽にも、言い出しっぺの自分の方が引っくり返りそうになった。
「ほ…っ本当!?いいよ…って…どっちのいいよなの?OKって事?NOって事?」
あまりの驚きで私の声のトーンが上がった。
「ちょ、ちょっと、櫻井さん声が大きいから」
先生は周りを気にしながら、私の言葉を遮る。
「あっ…ごめんなさい。嬉しくって、つい」
私は慌てて口を押さえる。
「櫻井さんって…可愛いね」
先生は私の頭をポンポンと軽く撫でると、優しくニッコリと笑った。
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