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二次会が終わると、数人に分かれタクシーで独身寮に向かった。
独身寮、つまりナースもドクターも同じワンルームマンションに住んでいる。
私は先生と、あと一人泥酔した麻酔科医と寮に帰ることになった。
真夜中の国道を走る、静かなタクシーの中。
『この麻酔医…とっても邪魔なんですけど』
口を開けてイビキをかく麻酔医を横目に、大きなため息を落とした。
麻酔医が爆睡してるのを良いことに、膝の間でこっそり繋いだ私の手と先生の手…。
私が強く握ると、先生もそれに答えるように強く握り返す。
その手から伝わる先生の体温が心地いい…。
誰にも言えない悪いことをしているんだ…私達。
妙にたまらなくドキドキする。
寮に着くと別れ際に
「今度ご飯食べにいこう」
麻酔医に聞こえないような小さな声で先生が言った。
「…うん」
私も小さな声で頷いた。
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