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今から5年前…
2001年12月22日。
この日、病院が主催する忘年会での出来事が、私の運命を大きく変えた。
「先生、結婚前に私と最後の恋愛をしようよ!」
酔った勢いで誘う、不埒な女。
「…君とだったら、そうなってもいいよ」
危険な香りに誘われる、無防備な男。
それが、全ての始まりだった。
――――――
丸いテーブルを囲み、お酒と料理を味わう医療関係者達。
「櫻井さん、今日は婚約者は放っておいていいの?」
好物の生ハムサラダを頬張る私に、おばちゃんナースの…いや、先輩ナースの高木さんが話しかけて来た。
「いいんです。今日は出張で帰って来ませんから。朝までコースでも行けますよ~」
ほろ酔いの私は、フォークを片手にVサインをして見せる。
「もうすぐ結婚だからって、名残惜しさに浮気なんて駄目よ!」
「ははっ!こんな筒抜けの院内で浮気なんてしませんよ。するなら院外で相手見つけますから~」
院内で浮気?
院外で浮気?
どちらも、私には全く縁の無い戯言。
楽しい雰囲気にのまれ上機嫌の私は、ニヤケ顔を見せる高木さんに冗談混じりの返事をした。
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