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さゆりの顔がもっとしっかり見たい!
私の愛する人の婚約者がどんな女か見たい!
この目で、もっと近くで!!
私は好奇心…と言うより、沸き起こる嫉妬心に操られる様にお菓子の棚から身を離した。
大丈夫……
大丈夫……バレやしない!!
向こうは前回レストランで会った時、私の顔などほとんど見ていないはずだ。
私は先ほどまでの恐怖感を忘れ、闊歩する勢いで再び野菜売り場へと向かう。
しかし、野菜売り場にはすでに彼女の姿はなかった。
…あれ。
どこ行ったんだろ…。
キョロキョロ辺りを見回し足を進める。
…いたっ!あれだ!!
彼女は野菜売り場を抜け、今度は魚売り場で魚を選んでいた。
またもやパックを何個か手に取り…。
この短時間の様子で、彼女の性格がなんとなくわかった気がした。
それからの買い物は服を選ぶかの様な、なんとも長い時間のかかる買い物であった。
とにかく全ての物を選ぶのに妥協しない。
ただの食材選びに…このペースの買い物に先生は付き合ってるのか…大変ね。
そんな事を思いながら、私は婚約者を偵察していた。
…これって完全ストーカーだよな。
まさか、私がこんな醜い行動をするなんて…
今まで有り得ない自分の姿に苦笑いを落とした。
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