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急に心臓がバクバクと激しい鼓動を打ち、たちまち顔が熱くなる。
隣で未だ人参を選ぶ彼女にも聞こえるのではないかという程に、全身を叩き打つ激しい拍動。
はっ…早くこの場から離れなきゃ!!
私は思わず縺れそうになる足を急かし、恐ろしいものから逃げるかの勢いでその場を離れた。
そして、彼女のいる野菜売り場から離れた、お菓子売り場で足を止める。
ポッキーの並ぶ棚の前に身を潜め、乱れた気持ちを落ち着かせようと深呼吸をする。
なんでこんな所に彼女が…。
胸に手をあて最後に大きく息を吐く。
…そうか、ここは先生のマンションの近く。
この時間にここに居るって事は…
平日なのに今日も泊まるんだ…。
カゴの中で激しく転がされた人参を見つめる。
汗ばんだままの拳にギリギリと力が入る。
驚きと緊張による全身の熱は、フツフツと沸き上がる嫉妬の熱に変わった。
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