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彼女は丁寧に食品を袋に詰めると、出口の方へ向かって歩いていく。
私も追い付こうと急いで出口に向かうが、彼女の背中を見つめ途中で足を止めた。
…私って、何て虚しい女…
追いかけてどうするの?辛くなるだけなのに…。
次第に目頭が熱くなる。
緊張感、恐怖感、嫉妬、後悔、罪悪感…
自制が―――
心のコントロールが利かない―――。
先生、ごめんなさい…
私、あなたの婚約者を隠れて見てるの…
こんな私、あなたには見せられない…
嫌だよね?こんな醜い女…ごめんなさい…ごめんなさい…
私はその場で立ちすくみ、涙で掠れて見える、彼女の後ろ姿を見送った。
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