330人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女を見送ると、とぼとぼと重い足取りで駐車場へ向かった。
初めて間近で見た、さゆりさんの姿と声ばかりが思い出される。
幸い彼女は私の顔は覚えていないようだ…
一度目が合ったが、私の顔など素知らぬ様子だった。
『あっ、この前お会いした看護師さんですよね?』
…もし、そんな事を言われたら私はどうするつもりだったのか。
『水島先生の婚約者さん?どうもこんにちは』
そう言って、わざとらしくはしゃいで挨拶でもするつもりだったのか…
私の行動は、自らを危険な立場に追い込む行動。
顔を覚えられたら、もしもの時に疑われるかも知れない。不利な事しか無いと分かっているのに…。
衝動的にした行動に、今更ながら身震いがする。
最初のコメントを投稿しよう!