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しばらくして、鳴り続けていた携帯電話が沈黙を保つ。
…とにかく…とにかく調べなきゃ!
本当に、さゆりさんが電話をしてきたのかどうかを!
急いで先生の家に向かった。
車のハンドルを握る手に汗が滲む。
どうか…
お願い…さゆりさんの車がありませんように!
止まない恐怖心の中、祈る思いで車を走らせる。
そして、心の準備が整わぬうちに先生のマンションが見えてきた。
直ぐに先生の部屋のベランダを見上げる。
視線の先には、闇に浮かぶように部屋の灯りがついている。
車を道路わきに止め駐車場に目をやると、いつも先生の車が止まっている場所には白のマーチが止まっていた。
…やはり…
部屋にいるのはさゆりさんだ…。
電話をしてきたのは、間違いなくさゆりさん…。
願った通りの救いの手は差し伸べられる事無く、目の前に突きつけられた真実。
やっぱり…私達の関係がバレたんだ…
私は愕然とし、項垂れた額をハンドルに押し付けた。
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