叶わぬ夢

3/20
前へ
/33ページ
次へ
二人は先生お気に入りのラーメン屋へと向かった。     「う~ん…よし!今日はチャーシューいっぱいのヤツにしよう!」   先生はチャーシュー麺を。 私は中華麺を注文した。     「…昨日はごめんね」   私から気まずそうに話を切り出した。     そんな私の顔を見ると、 「もういいから。俺も悪かったし…。仲直り仲直り」 先生はニッコリと微笑んだ。 「ありがとう。実は、私がいじけてたのにはもう一つ理由があって…」   「ん?もう一つ理由?」 「実は私…この前さゆりさんに会ったの。スーパーで…。それで、さゆりさんを知りたくて後つけちゃった…ごめんなさい」   私は、視線を落としたまま頭を下げた。 「…そうなんだ。別に謝らなくても良いよ」     先生は目を細め柔らかな視線で私を見つめる。 「さゆりさん…凄く清楚でいい奥さんになりそうな人だね…」   「…何言ってるの?唯だっていい奥さんになる。絶対に」   私を慰めるかのように、柔らかな口調で先生が言った。     「ははは…ありがとう。私がいい奥さんか。でも、先生の奥さんにはなれないのにね」     苦し紛れの、笑みを溢す。 「…唯……」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

306人が本棚に入れています
本棚に追加