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「なんでわかるの!?」
「だって私、味で種類わかちゃうから。な~んて、嘘。この前さゆりさんが買ってたから」
「あぁ…なるほどね」
気まずそうに言葉を並べる私を見つめ、先生はフッと小さな苦笑いを浮かべた。
婚約者が買ったジュースを私が飲む…
罪悪感で少し胸がチクリと痛んだ。
二人でくだらないお笑い番組を見ていると、カウンターの上にある電話が鳴った。
カウンターに向かう彼の背中を見つめながら、私は急いでテレビの音量を下げる。
「もしもし。…あぁ。うん、ちょっと友達と食事して来て今帰った。…違うって。後輩の倉田先生」
どうやら電話の相手は彼女のようだ。
会話の内容からして…
『さっき電話したのに何でいなかったの?食事って女の人?誰なの?』
…そんな感じだろう。
そして、私は倉田先生になったらしい。
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