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｢櫻井先輩！ちょっと聞いてくださいよぉ～｣
２個年下の後輩、奈美(ナミ)がカルテ記載をしている私に声をかけた。
｢なに？そんな楽しそうな顔して。また何か面白い情報でも掴んだの？｣
私はボールペンを持つ手を止めて、声を弾ませる後輩に視線を移した。
奈美は、この病院で『情報屋』と呼ばれるほど、病院関係者のあらゆる情報を掴んでいる人物。
要するに、ドクターやナース、その他の部署で繰り広げられる恋愛やら不倫情報が大好きな娘である。
｢そうなんですよぉ～。だから櫻井先輩に報告しなきゃいけないと思ってっ｣
後輩は口の端を上げて、｢フフッ｣と嬉しそうな笑みを浮かべた。
奈美は何故か私になついており、何か面白い情報を掴むとこうして報告しにやってくる。
｢で？今回のネタは何よ｣
実は、私もその手の話は嫌いではない。
ククッと喉を鳴らし、ペンを持つ手で頬杖をつく。
｢今回はですね～、２つあるんですよぉ｣
お預けを食らっていたとばかりに、奈美が再び声を弾ませ話し出す。
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