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「…櫻井さんところだってラブラブなんでしょ?いやぁ~羨ましい」
予想外に先生の反撃が来た。
「……」
…なんて虚しい二人。
現実を押しつけ合い、お互いを傷つけ合ってどうするんだ?
私は、馬鹿だ。
「羨ましいでしょ~。…奈美、そろそろ点滴交換に行ってくるね」
奈美にそう伝え、逃げるようにその場を離れた。
背中には先生の視線…
私は振り向かずステーションを出た。
その後、ステーションでは一言も先生と口を聞かなかった。
時々視線を感じたが、私は気づかないフリをし黙々と仕事を続けた。
…わかってる。
ただの私の嫉妬だ。
先生は何も悪くない。
私の心が、些細な事で淀み崩れていく…
『私達にはもう時間がない』
その焦りと不安が、私を嫉妬深く、醜い女に変えていく。
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