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「えっ!?……」…何で…さゆりさんが…
あまりの驚きで、言葉が出ない。
「…先輩?」
奈美は私のひきつる表情に気づいたのか、首を傾げて私を見つめる。
「あ…。それで、病棟に婚約者が?」
私は、強張っていく表情を必死に隠し平静を装った。
「さぁ…何でだろ?何か手に持ってたから…先生に届け物かなぁ」
届け物?…病棟に?
それなら、医局に届けるのが普通だ。
何で、わざわざ病棟に?
しかも、先生は消化器ドクター。
先生に会う目的なら、消化器病棟に行くのが手っ取り早い。
1日に数回しか現れない、うちの呼吸器病棟にどうして?
――――明らかに、不自然だ。
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