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「先輩!水島先生が婚約者連れて出ていきましたよ」
私の姿を見ると、奈美が早速報告にやって来た。
「…へぇ。そう」
私は、気持ちを静めながら気の無い返事をして見せる。
「先輩ちゃんと彼女見ました?私は挨拶しちゃいましたよ。そしたら彼女、『うちの水島がお世話になってます』って、挨拶したんですよ!」
そうか…
私の正体を知ってたんじゃなくて、あれはやっぱり反応を確かめてたんだ…。
ホッと胸をなで下ろした。
「うちの~ってなんかいいですよねぇ。うちの主人が…みたいな感じで」
奈美は、相変わらずはしゃぎながら話し続ける。
そして私は、彼女がその後どうなったのか…
先生は彼女に何を言ったのか…
やはり私に会いに来たのか…
その事ばかりを考えていた。
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