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「今日は私が夕食作ってあげるからさ!」
綾子はそう言って、両手に下げた買いもの袋を私に見せる様に持ち上げ、声を弾ませた。
テレビの音に重なるのは、…トントン…ガサガサ…
生活感に満たされた音。
―――久しぶりに、人の温かい気配を感じる。
私はベッドにもたれ掛かり、キッチンから聞こえるその音に耳を済ませていた。
「どう?美味しそうでしょ~。特にこの生春巻きなんて絶品よっ」
テーブルの上に並んだ料理を眺めながら、綾子が満足気に言う。
「うん、全部美味しそう。綾子って手際良いね。直ぐにこれだけ作れるなんて感心するよ」
綾子は、野菜と卵の入った中華粥、生春巻き、そして鶏肉とピーマンの味噌炒めを作ってくれた。
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