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私は、綾子に先生との電話の内容を話した。
「綾子…私って愛されてなかったのかな…」
肩を竦め、弱々しく言葉を落とす。
「結婚前にただの遊びであんたと付き合ったと思う?人の愛し方は私には分からないけど…少なくとも、本気だったと思うよ」
綾子はそう言って、柔らかな笑みを浮かべた。
「……」
「先生だって、突き放すのつらいと思う。でも、お互いそれが一番いい選択だって結論だしたんじゃない?…今ならまだ間に合うよ。唯も、早く前を向いて歩き出さなきゃ」
綾子は言葉を続け、諭すように私の肩をポンポンと叩く。
お互いに一番いい選択…
前を向いて歩きださなきゃ…
分かってる。私も、それは分かってるのに…
「…うん」
私は喉の奥で、小さく頷くしかなかった。
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