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「ちょっと座って待ってて」
先生は微笑んだ後、キッチンへと向かった。
ソファーに座りテーブルの上を見ると、そこにはウェディング関係の雑誌が何冊か積んである。
「……」
私は口を引き結び、その中の一冊を手に取る。
ゼクシーか…
結婚が決まった当初は何冊か買ったけど、最近は全然見てないなぁ…。
それだけ自分の結婚を考える余裕も、気力も無くなったって事か…
行き場の無いため息が零れる。
そんな自分を、どうしようもなく虚しく感じた。
「ごめん散らかってて。その辺の本とか下に置いちゃっていいから」
先生は珈琲を机の上に置き、無造作に雑誌やその他の紙を退かした。
「…先生の結婚、いよいよだね」
俯いたまま言葉を落とし、私は珈琲をスプーンで掻き混ぜる。
「…うん、なんか実感ないけどね」
先生は小さく笑って、珈琲を一口飲んだ。
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