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「…お邪魔します」
私はそう言って、躊躇うように玄関先で足を止めた。
私…本当にまたこの家に入っていいのかな…。
「はい、どうぞ」
複雑な心境を宥める様に、招かれる声と目の前に置かれた花柄のスリッパ。
「あ…うん。ありがとう」
遠慮がちな笑みを返す。スリッパを履き、彼の背中を見つめリビングへ向かった。
相変わらず、花がいっぱい飾られた綺麗な部屋。
約1ヶ月ぶりに嗅いだ部屋の香りが、不謹慎にも懐かしく感じられた。
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