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私はその場に座っていられなくなり、逃げ出すように立ち上がった。
窓に近づきカーテンを開ける。
硝子越しに聞こえる、シトシトと降り落ちる雨音。
私は窓を開け、その場にしゃがみ込んだ。
…私、今日何しに来たんだっけ?
また、苦しくなっちゃった…。
この部屋には来ちゃいけない。―――そんなこと、分かってたのにな…。
ちゃんと、頑張って「さよなら」言えるかな…。
…言えるかじゃない。
言わなきゃいけないんだ…。
「唯?そんな所で何してるの?帰っちゃったかと思って焦ったじゃん」
先生がカーテンを開けて、しゃがみ込む私を後ろから見下ろした。
「…うん。夜風にあたってたの。雨…降りだしたね」
私は振り返らず、深い夜空を見上げた。
「本当だね。今から降りだすなら、明日は雨かな」
先生は柔らかな声で言って、私の横に腰を下ろした。
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