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「あ、はい…」
ドキッとして、私は仰々しく一歩後退りした。
「あぁ!水島先生、夜勤スタッフが川島さんの明日の点滴の指示がないって、困ってましたよ!」
並んで歩くもう一人の先輩ナースが、ひょっこりと顔を出して口を尖らす。
「おぉ!そうだ、川島さんね、今から出しに行くから」
「そうそう、先生は朝まで頑張って!」
「今夜も不眠不休で頑張りま~す!…じゃあ、櫻井さんもお疲れさま」
爽やかな笑みを浮かべそう言うと、先生は病棟に向かって歩きだした。
「お疲れさまです…」―――先生…。
薄明かりの中に消えていく先生の背中を見つめ、小さく呟いた。
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